2010.01.17(日)
本番の日が来ました
チェロ台をセッティングして藤森が登場、最後の合わせが始まります。ホールの感触を確かめるようにtuttiも軽く弾いたりしています。
昨日のリハーサルより期待と緊張が増している団員さんたち。多くのご家族が見守る中リハーサルは淡々と進みました。
開場時間、鎌倉芸術館の入り口には列ができていました。その頃、楽屋からはメトロノームの音が聞こえました。どうやらドボコンではなく明日のモルゴーアクァルテット定期演奏会の曲をさらっているようです。こういった合間に練習もしているのですね。

これまでの合わせの道のりを見てきて、一度の練習で一段も二段も演奏がレヴェルアップしていく様が大変新鮮でした。ちょっとしたアドバイスで音が変化する現場に毎回どきどきさせられました。その集大成の本番。オーケストラの一員のような気持ちで聴かせていただいた管理人でした。緑交響楽団第44回定期演奏会は盛況のうちに終了しました。(例によって本番中の写真はありません)
アンコールにはバッハ:無伴奏チェロ組曲第3番からサラバンドを演奏しました。
オーケストラのみなさんありがとうございました。
【関連レポート】
「ドボコン」への道のり その1
「ドボコン」への道のり その2
「ドボコン」への道のり その3
2010.01.17(日)
本番前日
いよいよ明日は定期演奏会当日。最後の練習が行われました。
こちら、藤森が中学生の頃から使っている楽譜。


リハーサルではオケ側を向いてソロを弾くので合図がうまくとれるかなどの不安もあったり、「こっち向きだから藤森さんの左手のテクニックばかり見てしまった!」とハッとする団員さんも。 すかさず「N響はいつも藤森さんの背中見てやっているんですよ 笑」と指揮の
横島さん。

チェロのtuttiにアドバイス。アーティキュレーションにちょっと首をかしげる部分があり、楽譜を見せていただいたら、"いいところ"のメロディーに譜めくりがあることが判明!思わずみんなして笑ってしまうなど、今日の練習は緊張というよりオーケストラのみなさんともやっと打ち解けてきたような様子です。練習が終わったらポケットスコアにサインを求められ、団員のみなさんと音楽談義など・・・さあ、いよいよあしたは本番です。
その4へつづく・・・
【関連レポート】
「ドボコン」への道のり その1
「ドボコン」への道のり その2
「ドボコン」への道のり その4
2010.01.17(日)
「ドボコン」
それはドヴォルザーク作曲 チェロ協奏曲ロ短調 op.104の愛称(略称)。チェロ協奏曲の王様とも言うべきこの作品に親しみを込め、いつしかこの4文字で呼ぶようになった。
12月某日 藤森合わせ初日
その1 に引続き、緑交響楽団第44回定期演奏会に向けての練習です。 (本番は2010年1月17日)
伊藤文嗣さんの代弾きから数日後、今日は藤森の合わせ初日。指揮者の横島勝人さんとは8年ぶりの共演。前回もドボコンでした。(2002年10月14日 八王子フィルハーモニー定期演奏会)
先日の練習時よりプルトも増えたオケ。ぐっと厚みがでています。ソロが入る前の少しばかり長めの前奏部分を聴きながら確かな手応えを感じた管理人。期待はさらに膨らんでいきます。
足の裏からジーーン!
そろそろチェロの出番。1小節前のハーモニーが鳴るともうソワソワ?ゾクゾク? 管理人の興奮は最高値に。
藤森が弾き始めたその時、足の裏からえもいわれぬ痺れが走りました。響いている。チェロを足から感じている。
舞台と違い、ソリストと同じ床板に居るのだと気付いた私。床板傷つけ防止のエンドピンストッパーを用いているのにもかかわらず、スリッパ履きの足の裏からビリビリ伝わる音。それは快感ともとれる上質の振動。
今、藤森の音に全身が包まれている
何年も近くで聴いてきたのにこんな感覚は初めて。場所の所為?一体なんでしょうか。とにかく衝撃だったようでメモ帳には 「 F 只者デハナイ 」 と記しておりました。「F」とは藤森の略。
足裏の刺激に慣れてきたのは2楽章に入ってから。メモ帳から察するにこのあたりから"冷静"に聴きはじめたようです(笑)
ソロチェロが入ってまっさきに思ったのはオケのちょっとした欠点(たとえば音程のずれや不明瞭な発音) が見えなくなっていること。でも藤森のチェロは決して 「大迫力のパワフルでダイナミックな音量」 で圧倒させるタイプではありません。すべてを凌駕する一本の澄んだ音色がただひたすらに響き渡っている。それだけなのです。いやはや参りました。やっぱり 「只者デハナイ」 ???
全楽章を通し、5分程度の休憩兼スコアを見ながらの打合せ。横島さんとは経験があるのでお互いの目指すところは言わずとも通じています。あとはポイントを確認するくらいでしょうか。そんなやりとりをしている藤森の横顔はいたって平然。 いや~、参りました。
その3へつづく・・・
【関連レポート】
「ドボコン」への道のり その1
「ドボコン」への道のり その3
「ドボコン」への道のり その4
2010.01.17(日)
とある冬の朝 独り練習しているのは・・・・・・
レポート冒頭から藤森以外のチェリストが登場するのは稀。というかお初でしょうか。それにはいろいろと理由があるわけですが、 この画像を撮影したのは昨年のこと。
冷えきった控え室で黙々と指慣らしする若手チェリスト。彼がこれから弾くのは「ドボコン」の名で親しまれているドヴォルザーク作曲 チェロ協奏曲ロ短調 op.104。
12月某日 横浜市某所
緑交響楽団第44回定期演奏会に向けての練習です。(本番は2010年1月17日)
どんなコンサートでも本番に向けて必ず練習があります。コンチェルトの場合、ソリストがオケと合わせるのはオーケストラの伴奏部分が仕上がった頃、つまり本番に近い日に初めて合わせるのが通例で

す。さて、そんなオケの練習日の1コマですが、独奏チェロを演奏しているのは冒頭画像の新鋭チェリスト伊藤文嗣さん。
この日、スケジュールが合わなかった藤森に代わってソロパートを代わりに弾いてくださっているのです。 指揮は
横島勝人さん。
今日は独奏チェロと初めての合わせということでオケの音量バランスに重点を置き、練習は進んでいきます。まず第1楽章を通してみると両者とも(ソリストとオケ)おっかなびっくり相手の様子を窺うような具合。そんな両者の仲をとりもつように横島さんが導いていきます。要になる音符、聴くべきポイントを指揮棒や手で文字通り指揮していきます。
すると2楽章ではお互いが打ち解け合っていく様子が如実に音に表れてきました。それは、じっくり相手の会話に耳を傾け会話が発展していくのと同じ様に。この変化は聴いているだけで面白い! 3楽章になると一人一人から一つの団へと団員さんの意識が固まっていくのがわかります。ハーモニーが充実していき、協奏曲の意識が高まってきました。たった数十分で急成長です。それに必死に応えようと奮闘する伊藤さん。この合わせが今日だけなんて惜しい!
伊藤文嗣Vc. Fumitsugu Ito
1986年神奈川県生まれ。東京芸術大学を経て、現在同大学大学院修士課程器楽チェロ科2年に在籍。これまでに、若い人のための「サイトウ・キネン室内楽勉強会」 、「青少年のためのオペラ」、小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトVIII「カルメン」ほか、音楽祭にも多数参加。学内にて同声会新人賞を受賞。第8回全日本ビバホールチェロコンクール第4位入賞。これまでにチェロを宮城健、山崎伸子、河野文昭、藤森亮一の各氏に師事。ウェンシン・ヤン、ウォルフガング・ベッチャー氏の公開マスタークラスを受講。室内楽では、'04、'05年富山室内楽特別講座に参加、東京カルテットの指導を受け、各年、北日本新聞社演奏会に出演。その他、ジュリアードカルテット、フェルメールカルテット、ライプツィヒ弦楽四重奏団の公開レッスンを受講。第33回、34回芸大室内楽定期演奏会、第38回、第44回、第47回「JTが育てるアンサンブルシリーズ」などに出演。室内楽を岡山潔、山崎伸子、松原勝也、大友肇、松本和将の各氏に師事。第3回東京チェロアンサンブルメンバー。現在、NHK交響楽団アカデミーに在籍。 (2009.12現在)
その2へつづく・・・
【関連レポート】
「ドボコン」への道のり その2
「ドボコン」への道のり その3
「ドボコン」への道のり その4
2010.01.08(金)
10月にリリースした「エレジー ~チェロ小品集~」のミニコンサート&サイン会がヤマハ銀座店(仮店舗)にて行われました。
カール=アンドレアス・コリーさんとのデュオでは4年ぶりのCD。1999年の 「メディテーション」 から通算9枚目になります。
おや? にやにや(!)
伸び盛りのチェリストが来てくれました。
短い時間ですがお一人ずつお話して列は進んでいきます。左手のテクニックの質問があったり、表題作であるフォーレ作曲 「エレジー」 の楽譜にもサイン [画像右]。
レコーディングしたのは去年の8月。
その後コリーさんはスイスに帰国されたので本日は学生時代からの知り合いで今ではご近所な関係(笑)の大須賀恵里さんに伴奏していただきました。大須賀さんとは年に何回共演していることでしょう。お世話になっております!
この仮店舗とももうお別れです。
オープン迫る新ヤマハ銀座ビル営業開始がたのしみです。
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